育児ノイローゼ
授業での図書の時間。
静かにしなさい! 本は1人で読みなさい! 早く本を選びなさい! その教師は小学1年生に対しいつものように怒っていた。
その教師が、1人の子を廊下につまみ出した。鬼の形相。。。育児ノイローゼ。僕の頭にその言葉が浮かんだ。
今、小学1年生が学級崩壊を起こしている学校は驚く程多い。
机にうなだれうずくまっている子。 取り合いをする子。 些細な事で喧嘩をする子。 走りまわる子。 人と同じ事が出来ない子。 椅子に座ってじっと出来ない子。 じーっと遠くを見つめる死んだ魚の目の子。。。
僕はどうしたものかと少し悩むけど、すぐにその考えを捨てる。どうにかしようなんてどうでもいい。
ただ、目の前の子の目を見つめる。目の奥をじーっと覗く。
お互いの目の奥が見えた時、自然と笑いがこみ上げてきて、一緒に同時に笑いだす。数秒の出来事。歩きながら、いろんな子と一言も喋らずそんなたわいもない事を繰り返す。そして、僕は少し救われる。
心配の目で見れば、心配だらけの子ども達。 出来ない目で見れば、出来ない事だらけの子ども達。 弱い目で見れば、弱々しい子ども達。
僕は、何も考えずただ目をじーっと見る。後は僕のなかの直感がやってくれる。
廊下の向こうから、違う怒鳴り声が聞こえる。
あんた先生に誤りなさい! 先生に誤りなさい!失礼やろー!先生に謝れ! 自分に対し謝れと、虎とライオンの教師が、がなりたてている。
不登校を、2人も自分のクラスから出しても、何も気づけない。きっと家庭のせいにでもしたのだろう。
ため息をつく僕の横で、図書室では担任が廊下に放り出した生徒に何度も蹴られ出した。反撃だ。
なんで蹴るの!と担任はもっと怒り出した。
僕は呆れた。なんで蹴られるのかわからないなんて。
どちらが被害者で、どちらが加害者か。
被害者のふりをする事が大人の知恵なのだろうか。悲しい事だ。
そんな少ししょげてしまった日は決まって初めての子や、懐かしい顔達が休み時間やってくる。賑やかだ。
虎とライオンのクラスの子や6年生達。
人骨が好きだという2年生は、人骨の絵を書いている。
廊下に放り出された子と以前ビンタされた子が鬼ごっこをしながらやって来て、図書室の中を走りまわる。
先生手伝う事ないん?と5年生達はシール貼り。
みんなで1冊の本を楽しそうに読む。
時々、この本面白いでーとか、何してるんとか好きに関わりながら。
そして、僕を元気にしてくれる。この子達は絶対に大丈夫!そう思える瞬間僕は満たされる。
僕の心配の目や怒りの目、こだわりの目、福祉の目や教育の目。。。そんな目は、子ども達と対話すればするほど不思議と無くなっていく。
自然に勝手に。。。
それが一番面白い。