下り坂
いつも通る 割と長い下り坂の 割と人通りの多い その狭い歩道は 自転車で下る際 注意しないと 上がってくる人達に ぶつかってしまいそうで 怖い道だった。
ブレーキをかけながら ゆっくり下っている 僕の横を 子どもがノーブレーキで 追い越していった。 前を走る自転車も 追い越していった。 器用に追い越していった。
危ないなーっと思った。 ていうか、急いでも下の信号赤やのになーっと思った。
下に降りると、その子は赤信号で止まっていた。
ほら見ろ。 急いでも一緒やろーっと思いながら、その子の顔をチラッと見た。
悔しそうな顔をしてるかな? 損したって顔をしているかな? 何でそんな考えの無い事するんやろー? 危険な事わからんのかなー?
チラッと横目で見た。
意外にも、その子は満足気な顔で、じーっと前方を見ていた。
あれー?
信号が青になり、そこ子は又全速でまっすぐ走っていった。
そういえば、自分も中学生の頃、立ち漕ぎで全速力で新聞を配っていた。今日は、何分で配れたと1人で喜んだ。そして、鉄橋をノーブレーキで下り、ノーブレーキのまま車道を90度曲がるという事を日課にしていた。
ある日転け、脇腹がさけ血だらけになった。通りすがりのおっちゃんは、大丈夫かーでは無く、何がしたかったんやーっと不思議そうに聞いてきた。器用に転けたのか擦り傷など無く、絆創膏で済んだけど、今も傷は残っている。嫌な傷じゃない。
目を瞑り首を左右に高速で振りながら、立ち漕ぎで自転車を漕ぐという事もやった。全力で壁に激突し自転車はスクラップになったが、自分は無傷だった。
そんな事を思い出しながら、今を生きるってこういう事だっけ?っと、ちょっとわからなくなりながら帰った。
あの少年の顔には、汚れたものが無かった。自分は何故か清々しかった。
でも、事故らんといてね(^_^;)