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いじめ②


いじめを受けていた4年生の女の子のいじめが収まっていく中、もう一つのいじめが加速されていった。

いじめを受けていた4年生の女の子の友達が今度の対象だった。その子も、uni:neuには時々来ていた。大人しい子だった。自分から発言しなかった。ここでは、おもしろい事は、自分で探すというuni:neuのルールを伝えても、そういう環境に慣れていないようで、なかなか行動出来ずにいた。仕方ないので、〇〇これ手伝って!と言うと、嬉しそうに手伝ってくれた。絵を書くのが好きだった。絵を書く時や、コラージュをする時は、楽しそうに笑っていた。あまり笑わない、無表情の大人びた子だった。

ある日、もともといじめを受けていた4年生の女の子が「私、委員長になってん!」と嬉しそうに伝えに来た。「めちゃモテ委員長か?」と聞くと「違うわ!学級委員長やー!」と言った。立候補したとの事だった。誰かにしろと言われたんかと聞くと、違うわ!自分で決めたんやーっとの事。へぇーーー凄いな!と言うと嬉しそうだった。率直に凄い子だなーっと思った。 その委員長に、そういえば友達の○○最近来てないで。と、ふと友達の事を聞いてみた。委員長の顔が曇った。「〇〇ちゃん、最近学校に来てないねん」委員長は暗い顔でそう言った。その時初めて、委員長へのいじめが終わり、委員長の友達の子の方にいじめがシフトしている事を知った。 ショックだったが、向き合わない学校と、向き合わない保護者、問題から逃げる事を選択したその環境では仕方無い事だなと思った。正直、いじめている子どもを責める気もしなかった。水は低い方に流れる。悲しい事だと思った。

翌日も委員長は来てくれた。委員長に、次来る時はいじめられている子を誘って来て欲しいとお願いした。委員長は困った顔をした。「えーーー、あかんねん」と言った。理由を聞くと「お母さんに一緒に遊んだらあかんって言われてるねん」と、委員長はさらに困った顔で言った。理由を要約すると、少し前西成会館でイベントがあった際、偶然その子に会った。その際委員長のお母さんが声をかけたが、その友達が反抗的な態度をとった。その友達は洗濯もしていない服を着ていて匂いがきつかった。それで、お母さんは、その友達とは関わるなと委員長に言った。との事だった。

ネグレクトの可能性が強い。しばらくuni:neuに来ていない間に何があったのか。ともかく、一度会いたいと思った。委員長に、「〇〇大事な話やねん。友達の〇〇は今SOSを出しているねん、明日、uni:neuに連れて来て欲しいねん」と言った。委員長は、お母さんがダメって言ってるからっと、困った顔をしていた。「あのなー、友達の〇〇はいじめられてるんやろー、〇〇の気持ちが解るのは委員長しかいてないと思うねん」さらにお願いをした。「でも、、、、」「委員長は、まだ、お母さん、お母さんって言うんやなー」と言ってしまった。「無理なもんは、無理!!!」委員長は、走って帰ってしまった。大人の都合で勝手な事を言い過ぎたと反省した。明日、誰かに家の場所だけでも聞いておこうと思った。

翌日、委員長が暗い顔でやってきた。「あのなー、〇〇ちゃんの家に行ってきたけど、誰もおらんかった」と委員会は言った。予想外の出来事で始め意味が解らなかった。「そっか、ありがとう」とだけ言えた。「又、行ってみる。お母さんには黙っといてなー」っと委員長は罪悪感を持った顔で言った。委員長がやった事は凄い事やで、堂々と胸をはったらいい。表彰されてもいいぐらいの事やっと僕は言った。「うん」と少し笑って、塾があるからと委員長は帰っていった。

委員長が帰ってから、僕は自分を責めた。委員長に、母親を裏切っらせてしまった。いつものようにたまちゃんと話し合った。

誰の課題なのか。

それから2,3日後、いじめられているその子がuni:neuのドアの前に立っていた。突然だった。店の中に招いた。久しぶりやなーっと、少し世間話をした。何日も服を着替えていないようだった。外はもう冬になりかけだというのに、サンダル履きだった。匂いがきつかった。「あのなー、今日私すき屋で〇〇定食食べてん!」「ほんまかー、あの高いやつやろー!わしも食べた事ないわー」「めっちゃおいしかってん!」「良かったなー」その後も、少し前遊園地に連れていってもらったとか、珍しく自分の話ばかりしてきた。聞きながら、たぶん嘘だなっと思った。無理やり作ったその笑顔が僕には痛かった。

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